割引美人

妄想と事実を区別せず遠慮なく垂れ流し

また更新することにした

2015.06.08 Monday[21:46] - -

 もう、いい加減、所持許可を返納して、銃を手放そうかと思ったんですけど、最近ちょこちょこ誘われてバスケをした結果、やっぱり私、誰かと一緒に何かをするよりは一人で黙々とやるほうが性に合ってるわ、ゲームが楽しくないわけじゃないけど周囲と協力しなくちゃいけないの煩わしくて、せっかく体を動かしてもなんだかストレス溜まる一方だわ、としみじみ思ったので、今年も所持許可を更新することにしました。実は2年ほど撃っていないので、今月は行こうと思います。金がないとか遠いとか暑いとか雨だとか言わないで、撃ちに行かなくちゃ。悪いけどバスケより楽しい気分になるでしょう。

 前回、2012年に電子申請をして、それがとても便利だったので、今年もやってみることにしました。いやー、自分で書いた記事、役に立つわーと自画自賛するつもりでしたが、最初のIDで思い切り躓きました。知らないうちにシステムが変わっていて、以前のID等は使えないそうです。

質問 5-1 旧システムの利用者IDは使えますか?
旧システムの利用者IDは、本システムではご利用できません。共通ポータルの申請・手続情報メニューにある「申請者ID登録」から新たに申請者IDを登録してください。http://shinsei.e-kanagawa.lg.jp/kanagawa/www/guide/faq.html#qa5

 これに気がつかなくて30分ほど浪費しました。
 ただでさえ、銃刀法が改正されておろおろしているのに、こちらのシステムも変わっていては狼狽えるばかりです。何はともあれ、とにかく申し込みをしないことにはどうにもなりません。講習会は来週なんです。一週間前までしか申し込み出来ないんです。
 神奈川県電子申請猟銃等講習会の受講申込みから申し込みします。基本的な操作や記入の内容は以前とたいして変わりません。ただし、いったん保存の前に写真のアップロードが出来ます。写真は、今までは独自サイズ(縦3.6cm×横2.4cm)だったんですけど、今年からは運転免許証と同じサイズ(縦3.0cm×横2.4cm)になりました。いわゆるスピード写真だと指定の寸法が無いことが多くて不便でしたので、これは助かる改正です。微妙な差ですが、大きめのサイズで少し小さく映るように撮影して、自分で寸法を測って切り取らないといけなかったのが免許証サイズでそのままで良いのだから楽チンです。
 ここで、一番下に「戻る」「読込」「保存」「次へ」とあるので、なんとなく保存を押すと、現在入力したページの情報がダウンロードされます。これ、確定申告などでも同じですが、「保存」っつったら、作業している本人のパソコンにダウンロードして保存するという意味で、決してそのサイトに情報を登録するわけではないのです。ここは「次へ」です。
 ここからは念のための連絡先や、支払いのために必要な情報などを入力します。支払いは警察署だと収入証紙ですが、電子申請だとPay-easyが便利です。ネットバンキングですぐ出来ます。経験者講習は¥3000です。Pay-easyのサイトではコンビニ等へ行かなくてもATMですぐ出来る、とありますが、コンビニよりATMのほうが少なくないか……?

 神奈川県電子申請猟銃等講習会の受講申込みの詳細ページにある手続関連URLと案内・注意事項が同じページにリンクされているのはご愛嬌、と言って良いものなのか。なんじゃこりゃ、です。手続き関連と案内が同じページにあるとしても、別々にリンクする理由が分からん。

 2015-06-26追記
 はい、講習会、行ってきました。
 申し込みの写真は印刷して本人確認に使うようなので、ほどほどの大きさの写真を使ったほうが親切みたいです。所持許可更新の申請に使えるから車の免許証サイズを使い回しましたが、大きさは調整したほうが良さそうです。小さくちゃダメということは全くありませんので、面倒だったらそのままでも全然構わないと思います。
 内容は、おいおいおいおいおい! と言いたくなるような色々がありました。良いのでしょうか。事故や犯罪に使われることが多いから技能検定をやるようになって、そしたらそれが厳し過ぎて落とすための試験みたいになっちゃったから、またルールを変えて減点方式じゃなくてダメなところは「指導」するようにした(参照:http://www.police.pref.kanagawa.jp/pdf/d0003_01.pdf)、ってのは。
 これはダメだと講師が判断して、それを受講者に伝えるのが辛くて嫌だとか、ビックリしちゃいました。普通の企業でも査定をしたら評価とどこがダメでどこが良いかくらいは伝えるものじゃないんでしょうか。どうやったらもっと良い評価を貰えるのか、上司に訊けば多少は教えてくれるものでしょう。少なくとも、私は上司との面談で良いところだけは言われましたし、夫が勤務先から貰ってきた評価表を見た限りでは「積極性B」とかいわゆる通信簿形式でした。それを、落とすための講習ではないとしても、事故や事件を防ぐための講習なのに「どこがダメか伝えるのが辛い」って、そんなら講師なんかやるなと思いました……
 落とすための講習ではないとしても、ついうっかり銃口をひとに向けてしまうとか、きちんと脱包を確認しないとかは、もう癖になっていることでしょうから、その癖を直させないと事故や事件が減る方向には行かないと思う。うーん……
 試験内容はいつも通りです。この試験も、落とさない方向の試験なので甘いんですけど、車のトランクに入れっぱなしにするなとか、友人知人同士で実包のやり取りをするなとか、知っていてもついついやってしまいそうな違法行為を戒める感じの設問が多いです。技能講習もこの程度にきっとなっているのでしょう。空気銃には技能講習が無いのであくまでも想像です。
 どちらにしろ、試験そのものは車の免許ほどは厳しくない感じです。車の免許は試験は厳しいけれど、同居親族書も身分証明書(破産していない証明)も診断書(てんかんや精神病ではない、麻薬等やってない)も不要なので、厳しくする場所が違うだけとも言えます。
 先日、射撃場も行ってきて、使用実績も作った(撃ってないから当然腕は落ちていたけど楽しかった!)ことですし、あと入手が面倒なのは病院の診断書だけです。こういう手続きはゲームみたいな感じがします。必要なアイテムを集めたりイベントを順番にこなしたり。あるイベントをクリアしないと次のイベントが出現しないとか、手順を間違うと期限までに達成出来なくなる可能性があるのも、ゲームっぽい。天空の鎧と兜と剣と盾を集めるときみたいな気分に毎回なります。
 あ、同居親族書、今までは両親と弟妹だったけど、今回から夫だ。よく考えると彼の細かい経歴なんて知らないわ。意外と難しいアイテムだなこれ。身分証明書は行政サービスの出張所ではなくて区役所じゃないと取れないから、平日の9時から17時しか入手出来ない。新しい許可証の発行を伴う場合は¥7200です。

猟銃等講習会電子申請試してみた

2012.05.22 Tuesday[20:26] - -

 やってみたの、神奈川県の電子申請・届出サービスを。私が申請したのは、猟銃等講習会の受講申込みです。銃砲の所持許可を更新するために必要な講習会でして、講習終了証明書の有効期間は3年間、所持許可の期間も3年間、つまり私のように1丁しか持っていない場合は更新するたびに受講することになります。
 この申し込みは所轄の警察署で出来るのですが、受付は当然ながら平日9時から17時まででして、講習の申し込みのためだけに会社を半日休まねばならないという腹立たしいものです。10分で終わるのにな。所持許可の更新のために、講習の申し込み、講習会、所持許可の申請、新しい所持許可証の受け取り、最低でも4回は休みを取らなければなりません。
 私は空気銃ですから技能教習がありませんが、散弾銃やライフル銃は技能教習が必要ですから、さらにもう1日休みが必要です。ライフル銃の場合は県外なので最悪前日から一泊することになります。当然のように平日だし。また、麻薬などやってない証明のために診断書が必要なので、病院によってはやはり平日昼間に行くことになるでしょう。ほんとにもう。
 これらを講習の申し込みだけでもネットでやれば1回は休みを取るのを減らせると思って今回やってみました。

 まずはIDの登録からです。利用者登録をしなくても利用出来る申請や届け出もありますが、猟銃等講習会は利用者登録が必要なので登録しました。氏名やメールアドレス、パスワードなどを登録すると、仮登録のメールが来まして、本文に記載されているURLから個別情報の登録をします。住所とかね。登録完了すると登録完了を通知のメールが来て、これにIDが記載されています。
 手続き内容によってはフリーのアドレスではダメとのことですが、ダメ元でやってみたら講習会は大丈夫でした。なんだかな、と思いつつ、フリーのアドレスであっさり登録を完了しました。診断書だの戸籍謄本(更新のときは必要無い)だの身分証明書(破産してないよ証明)だのでがっちり固めるからアドレスがたとえ捨てアドでも問題無いのでしょう。合理的と言えば合理的です。通知されたIDでさっそくログイン。
 神奈川県警察/猟銃等講習会及び技能講習開催のお知らせのページの一番下のリンク「こちらから(神奈川県電子申請【猟銃等講習会の受講申込み】のページへ)」から直接行くのが楽です。電子申請・届出サービスからだとちょっと遠い。「神奈川県への申請」を選び、「申請・届け出をする」から手続検索をすることになります。猟銃等講習会は「スポーツ」カテゴリにあります。「スポーツ」には猟銃等講習会しかないのでこの点は分かり易いのですが、私は最初「防犯」とか「安全」だと思って探してしまいました。射撃はスポーツなんだよと日々主張しているくせに自ら「防犯」に行ってしまうとは。おとなしく素直に猟銃等講習会及び技能講習開催のお知らせのページから行けば良かった。

 申請を開始すると申し込み用紙が表示され、氏名と住所は自動で入力されていました。住所と本籍は所持許可証に記載されている通りに、とのことなので1−2−4などではなく、1丁目2番4号といった感じで真面目に。数字は全角です。これ確定申告と同じですね。お役所は全角数字好きだな。許可証番号は任意ですが、本籍や住所を入れるのに許可証の表記を確認するわけですから、ついでに入力すれば良いと思います。所持許可証には許可証番号と原許可と許可番号と、番号が色々あるので毎回迷うけど。
 所持銃が何丁か、散弾銃ライフル銃空気銃、それぞれ0は0を入れないと保存のときにエラーが出ます。手抜きは禁止らしい。これはたぶん、何丁も所持しているひとが申し込む場合、更新しようと思っている銃だけをついつい入力してしまうのを防ぐためなのではないかと思います。日程は第3希望まで記入出来ます。ちゃんと日程を別画面で表示するボタンが近くにあるのが親切です。でも、現在申し込み可能な、1週間より先からしか申し込み出来ませんから1週間より先で定員が埋まっていないものだけを表示させるわけでも、チェックボタンやラジオボタンで選べるわけでもないので、見比べて入力しなければなりません。間違えそうで怖い。
 ここでいったん保存出来ます。「入力完了」で次の画面、「保存」でパソコンに保存と、いちいち説明があるので安心してボタンを押せます。ここで保存した場合、いったん申し込みを中断してもデータを読み込ませて再開出来るようです。次の画面へ行くと、写真のアップロードになります。それと支払い方法の選択。Pay-easyしかないので選択も何も無いですが。
 普通に証明写真を撮ってきてスキャンしました。写真のサイズは10M以下とのこと、けっこうおおらかです。1Mでもでかいだろ、と思いますけど。ちょうど良い大きさにして保存して、という作業はプレビューでやりました。画像ソフトが無くてもそこそこの編集が出来るのがラクチンで良いよなあ、Mac。
 いちいち写真をアップロードしないといけないのが面倒です。でも、どうせ所持許可更新の申請のときに写真は2枚必要なので、ここで撮ったものを使い回せるのは良いです。今までは講習会と更新で4枚写真が必要でしたが、これなら実物は2枚だけで済みます。証明写真の撮り方によってはちょっとだけ出費が減ります。
 写真をアップロードし、支払い方法を指定して送信すると到達確認のページになります。到達って……言葉の選び方がなんとも言えません。申し込み内容、申請状態(「申請到達」となっている)、到達番号、到達日時……受付や受領ではなくあくまでも「到達」しただけと主張しているあたりが堅実と言えば堅実です。納付方法には、納付状況、収納機関番号、納付区分、納付番号、確認番号、納付金額などがありますので、これを利用してATMもしくはネットバンキングで支払います。振込手数料がかからないのはありがたい。

 到達確認画面でいったん申し込みは終了になりますが、ここから支払いに対応している金融機関一覧へいけますので、ラジオボタンをチェックして「支払い」と思ったら、なんかうまく動かない。safariがダメなのかなと思い、FAQ等で確認するのも面倒なので銀行へ移動して操作しました。給与振込先が支払い対応金融機関で良かった。
 Pay-easyを利用したのは初めてでしたが、納付区分、納付番号、確認番号を問われるままに素直に入力したら何事も無く支払いが完了しました。念のため電子自治体共同運営サービスにログインして確認すると、しっかりと「納付済み」になっていました。到達確認メールや支払い確認メールはすぐには来ません。エラーになると来るようです。銀行からは支払い確認メールは即座に来ました。
 払うものも払ったし、後は申し込んだ日程が定員オーバーしていないことを祈るだけ。と思っていたら、翌日あっさりと「到達番号:[ほにゃらら]の申請について、神奈川県から通知書・公文書が発行されました」とメールが来ました。朝の10時前には送信されていました。URLが記載されているので、そこからまたログインして状況照会を行うと、申請状況、申請情報通知書/公文書情報、とあって、この「通知書/公文書情報」に「猟銃等講習受講申込(控)」がありました。希望した日程が取れたのかどうか、どうしたら分かるのか分からん、と思いながら「表示」させたところ「受講日等情報」として整理番号や受講年月日、受講場所などが記載されていました。
 うん……確かにこれ見れば分かるけれど、もっとなんかこう、旅行の申し込みをして飛行機が取れたかどうか宿が取れたかどうか一番知りたい情報が端的に書いてあるようなお知らせ的なものがあると良いんでないでしょうか。
 まあでもとにかく、受講は出来るようなので一安心です。この控えを「保存」すると「処理完了」のメールが来るようです。もしかしたら発行された通知を閲覧するだけでも「処理完了」になるのかもしれません。あれこれいじってとりあえず保存してみたらいつの間にかメールが来ていたので良く分かりません。妙なところで至れり尽くせり。
 ゴールデンウィーク中の平日休みの日に警察へ行って書類を貰ったりあれこれ確認したりしながら講習の申し込みをするのが前回までのパターンでした。警察へ行っての申し込みですと、その場で電話して予約OKかどうか確認してくれます。電子申請のようなドキドキはありません。今回こそ法改正が絡むんだから警察へ行って話を聞いておくのが安心だったはずなのに、大雨にくじけたり熱出して寝てたり。この土日も名探偵★浅見光彦の住む街 ミステリーウォーク 2012年「鉄路に消えたふたり」に行くはずだったのにまた熱出して寝てたし、電子申請様様ですよ。

 この電子申請、たいへん便利なのですが、自治体ごとにIDを登録しないといけないのが馬鹿だと思います。猟銃等講習会は県への申し込みですから、県のIDを取得しました。これを試しに住んでいる市で入力してみたらアウトなの。よくある質問にも、しっかり書いてありましたけど、いやいや住基ネットもあるんだからひとつのIDであれもこれもでしょ! と思います。

質問 6-17
 一度、利用者情報の登録を行うと、他自治体でも同じIDを利用できるのですか?
回答
 利用できません。利用者IDは自治体ごとに設定されていますので、電子申請・届出をする自治体が複数ある場合は、それぞれの自治体で利用者情報を登録してください。
利用者情報の登録・利用者ID/パスワードに関するよくある質問

 私はこの電子自治体共同運営サービスそのものを、住基ネットの登録情報で全部出来れば便利なのに、というか住基ネットの価値が高まるのにもったいない、とやや呆れています。もちろん、住基カードを持っていないひとも多いでしょうからカードがなくても登録出来るのが当然ですが、住基カードを持っているのならそれをピピっとやれば万事OK、そういう仕組みがあっても良いじゃないかと思うのです。そしたら本籍だって生年月日だって性別だって入力しないで済むもの。
 写真だっていちいちアップロードするのではなくて、住基カードなら写真付きなんだしそれ転用で良いじゃん、と思うの。それともあの写真はデータベースには登録されてないのかしら? そうなの?
 個人認証サービスと電子署名、確定申告と同じでそれがあれば県や市の申請もOKで、良いと思うんだけどなあ。
 しかしながら、電子署名に関してはMacOSが使えないとのことなので、もしMacはごめんなさいで運用されていたとしたら、なんだよもうWinなら良くてMacならダメって何だよ畜生とイライラすること請け合いです。今の通り公的個人認証サービスと連動していないほうが腹が立たないかもしれません。

 読み上げ・文字拡大・色変更機能がしっかりしているのはさすがだと思います。ユーザビリティは確定申告よりはるかに良いです。表記や表示はほんとうに見やすい。申込書そのものも、紙のやつよりよほど見やすくて分かり易い。あの用紙はなんであんなに分かりにくいのかね。
 お試し申請が出来るのもかゆいところに手が届く感じ。操作の練習が出来て良いです。私は申し込みし終わったあとに遊んでみました。そこで電子署名はMacダメとかいろいろ知ったわけです。
 何故Macだとダメなのか分かり易いところにはっきり書いてあるのも、多少心証が良いです。すっげ一方的な宣言にしか見えないけど。まったくAppleにも困ったもんだ。

Mac OSでは、以下の理由により電子署名が必要な手続等を利用できません。
Mac OS X 10.7 Lionでは、Mac OS Xの仕様変更により、ICカードを利用するための機能がサポートされなくなったため、公的個人認証サービス(JPKI)等の電子認証サービスを利用できません。
Mac OS X 10.6 Snow Leopardを、公的個人認証サービスでは動作環境としていますが、本サービスでは電子署名にて不具合が発生するため、利用できません。
公的個人認証サービス以外の電子認証サービスでは、Mac OSを動作環境としていません。
電子署名用動作確認環境の確認

彼はひとりじゃなかった

2011.10.24 Monday[23:40] - -

 会社からの帰り、ズールーのZとゴルフのG、日本人は聞き分けにくいからついつい「ゼット」なんじゃないのという話から、無線の話になりまして、30分ばかりずっと同僚と無線の話をしていました。その同僚は父親が庭に小さい鉄塔をたてちゃうくらいにアマチュア無線をやっていて、子供のころから身近だったそうです。私はたいして無線のことは知らず、高校生のときに無線部の活動を毎日見ていたので、なんとなく様子を知っているというくらいです。あとは、遠出したときに立派なアンテナをつけている車がサービスエリアで待ち合わせの連絡をしている現場を見かけたり、子供のころに行ったスキー場でゴツいリュックのおじさんたちがわいわいやってるとか、その程度です。25年ほど前は、スキー場で無線を持っているひとがちらほらいて、私がひとりでぷらぷら上級者コースへ向かっていると「そっちの山の裏側は吹雪いてるってよ、嬢ちゃん」なんて、ギーギーガーガーノイズだらけの無線を片手に声をかけてくるおじさんがいたりしました。あれは私が美少女だったからでしょうか。
 冗談はさておき、25年前は私にとってハムというものは頭が良くて機械に強いひとがやっているちょっとなんかカッコいい感じでしたが、それが高校生の頃には、無線なんて暗い男の子の趣味だと思うようになっていました。いやちょっとは興味あったのですが、機械をいじってにまにま笑っている男の子の集団に混ざれる程の度胸も無く、毎日ちらちらと眺めているだけでした。部室、射撃部と無線部は同じところを使っていたので。
 こっちが真面目に銃を構えて静かに集中しているすぐ側で、数人で真冬でも元気よく窓を開けて「JA1A……」とやってました。先輩たちが卒業してから部員はたったひとりになってしまい、それでも彼は毎日のように部室に来てギーギーガーガーやってました。相手が見つからないのか30分もしないですぐ帰ってしまうときもあれば、機械をあれこれアンテナをあれこれいじくりまわしているだけのときもあるし、数時間楽しそうに何かブツブツ言っているかと思えば、何があったのか急に少し大きな声を出してブツっと切ってしまうときもありました。
 その頃の私には、知らない誰かに呼びかけてお喋りすることの何が面白いのか全然分からず、いつも一人でいる彼は、あれで楽しいのかなあ、先輩たちもいないのに、後輩も入って来ないのに、よくやるなあ、毎日毎日、と思っていました。無線の機械は代々使っているものなので古くて大きくて、彼はきっと彼なりに多少は気を遣っていたのだと思いますが、とにかくノイズが酷くて、彼が喋っている声は良く届き私がJA1以下略を覚えてしまう程でした。相手の話している内容が分かるほどに鮮明には聞こえず、ほんとにいったい何をしているのか、ちっともさっぱり理解出来ずにいました。
 でも今日、同僚と話をして、そうだねラグチューってのは2chとかtwitterみたいなものなのよね。今なら分かるわ。いや、彼が無線を楽しんでいたその本当のところ、何が楽しかったのか、目的は何だったのか、私は何も理解出来ていませんけれど、そう、知らない誰かを探してとりとめの無い話をするというのは、うさんくさい暗い趣味じゃない。なんというか世界が広がる楽しさだ。彼はひとりで何かをしていたわけじゃなくて、ちゃんと相手がいて一緒に過ごしていた。彼は全然、ひとりじゃなかった。
 平日の夕方はいったいどんなひとたちが無線で誰かを探していたんだろう。付き合いのある他の高校の無線部と話すことがあるというのは先輩から聞いたことがあるけれど。ガラス瓶に手紙を入れて海に流すような、風船にハガキを付けて飛ばすような、世界中で誰かが誰かを探して両手を開いている。実にロマンチックかつ堅実で現実的な遠い遠いノイズの中に聞こえる誰かの声、それはどんなに聞き取りにくくても美しい音楽よりも心地よく彼の耳に届いていたのでしょう。腹立たしげにヘッドフォンを放り投げたりもしてましたが。
 電源を落として上着を着て鞄を持って、その様子が目に入ると我々は銃を下ろして彼が通れるようにする、彼は会釈なんだかなんなんだか分からん程度にちらとこちらを見るような見ないような無愛想な態度でさっと横切って部屋から出て行く、あの姿をいつもひとりでなんだか寂しいもんだと思っていた私の身勝手さが恥ずかしい。彼はいつも誰かと一緒だったのにね。分かった気になっているこの状態も恥ずかしいけど。

 余談ですが、真面目に部活中の射撃部と無線部の様子を見た生徒会の友達に「狙撃兵と通信兵」と言われました。

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